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小林真生のサイト内ブログ
こちらは書き物の一覧になります。何か気に留まることがあったときに記録したり、何かをお知らせしたりする、その他も多々なる雑記になります。


わたなべさん
私の地元には大量のわたなべさんがいる。古来沢山いるらしい。現に富士北麓地域を支配している。いくら外人が押し寄せたってわたなべさんに波は立たない。朝方の河口湖のように澄ましてこそわたなべさんである。 学校の一クラスに40人いれば5人くらいのわたなべさんが生まれる。私はわたなべさんと労苦を共にしてきた。ただし、私が小学校に入学したときには1人のわたなべさんしか生成されなかった。30人クラスだったから仕方ない。小林は4人いた。小林じゃ争って食ってけないと思った。ちょっとしたら小林とわたなべさんが1人ずつ増えた。ただ小林は強いという気がした。年を跨ぐごとにわたなべさんの知っているのが増えていった。小林は段々珍しくなった。 あるわたなべさんはよく喋った。私に対してもよく喋った。ただし授業中は黙った。私は授業中も喋ったから変人の地位を確固とした。不良たらんと欲す者、世間的常識はよく弁える。不良の認定を行う者は社会である。社会基盤を支える勢力でなくては不良になれない。根本的な悪者格ならば悩み悩むだけで若き日は消え去る。信じる者は救われる。...
2 時間前


ヘボン館
明治学院大学白金キャンパスの戯画。 何か名称があるんだろう、目に無数の突起を引掛けてくるような粗目の表面をした、クリーム色の壁が廊下を暗がりに化かしている。暗い廊下は半円形を描いていて、中間点に人間大の穴のようなものがある。白地に黒で「ヘボン館5F」、というのがくっついている扉であるが、ほとんど意味を催す前に意識は壁のかちこちに逃げていく。そして用がなければ、光らない消火栓のようなものである。ただし大きい。 この扉にかちこちより無機質な感がある。なにせ重い。いかめしくないがやかましい音がよく響く。扉は大概ちょっとだけ外に開いている。もっと開けるには、手でノブを押すより体重を扉の面に働きかけなければならない。横タックルの姿勢をとると楽である。私は上腕で押し開いている。タックルに負けた扉は閉まる際に大きな音を出す。配慮すべきなのかもしれないが、私は仕方ないことにしている。 本館5階とヘボン館5階はこの連絡口でつながっている。 学内の建物の中で本館だけ地上階がずれている。ヘボン館の大学院施設出入口は1階にあるが、ちょうど目の前に本館2階につなが
4 日前


恋の心
穴の中に沈んでいることに気が付いて、空が狭い。 頭に縛られて、頭から膨張するような、 仮想の風船を判断しろ。 私はあなたに恋している、惹かれている、 鼻と目頭を結びつけたものが大息を吐いて、 あなたの身長を占める体臭を縛り付けて、 それが駄目になっても駄目にならないような 頭痛を用意している。 私はあなたを愛している。 しかし私の愛によれば、あなたは私に惹かれている訳がない。 穴の中に沈んでいることに気が付いて、空が狭い。 私の猛烈な恋も、つまりは土の壁に目玉を放り込むほかないので、そうでもなければ幻想なのではないか。 いや、そんな訳がない。 私の目頭の甘美な感は、気管を通して身体中を締め付ける、 唯一不可疑の存在物だ。 ああ、熱は冷めてこそ存在物たるもので、あなたにとってもそうであろうと願わせるものだ。 愛情からの推測は当てにならん。 私はあなたを愛していないと思う。 私はあなたに恋されていると思う。 何だそんなもんかと思う。 正体ならば体のない頭痛に相違なく、まあ体を得ない。 愛じゃなければ愛じゃないなりに締め付けるし、それに限る。...
7月21日
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